特集 ガイドラインの意図を読み解く—栄養療法の実践知
Part 2 各論 CQ解説:ガイドラインの行間を読む
⓲ CQ2-7—重症患者において,プレ/プロ/シンバイオティクスを投与すべきか?
畠山 淳司
1
Junji HATAKEYAMA
1
1横浜市立大学 医学部 救急医学教室
キーワード:
バイオティクス
,
マイクロバイオーム
,
腸内環境
Keyword:
バイオティクス
,
マイクロバイオーム
,
腸内環境
pp.433-441
発行日 2026年7月1日
Published Date 2026/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.188348330180030433
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クリニカルクエスチョン(CQ)が生まれた歴史的背景
重症患者に対する栄養療法は,単にエネルギーやタンパク質を補充する治療から,腸管機能,免疫応答,感染性合併症,さらには長期予後を見据えた治療へと発展してきた。かつて腸管は栄養投与の経路としてとらえられることが多かったが,重症病態では抗菌薬投与,腸管虚血,鎮静薬,カテコールアミン投与,経腸栄養の中断などが複合的に作用し,腸内細菌叢や腸内環境が大きく変化することが知られるようになった1,2)(図1)。この腸内細菌叢の破綻は,腸管バリア機能の低下,バクテリアルトランスロケーション,全身炎症,院内感染の増加と関連し,腸管が重症病態の進展に関与する重要な臓器であるという考え方が広がった3,4)。
このような流れのなかで,腸内環境を修飾する栄養介入として,プレバイオティクス,プロバイオティクス,シンバイオティクスが注目されてきた。プレバイオティクスは宿主に有益な微生物に利用される基質であり,短鎖脂肪酸産生などを介して腸管上皮や粘膜バリアを支持することが期待される5,6)。プロバイオティクスは,十分量を投与することで宿主に有益な作用をもたらす生きた微生物であり,乳酸菌属やビフィズス菌属などが代表的である7)。シンバイオティクスは,これら生菌とその増殖を促す基質を組み合わせた介入であり,腸内細菌叢の改善と腸管機能の維持をより包括的に目指すものと考えられてきた8)。

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