書評
パーキンソン病治療ガイドライン2011--日本神経学会●監修,「パーキンソン病治療ガイドライン」作成委員会●編
望月 秀樹
1
1北里大神経内科学
pp.768
発行日 2011年8月10日
Published Date 2011/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436101497
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パーキンソン病治療は,10年前と比較しても多くの薬剤が使用できるようになり,薬剤選択の上でいろいろな工夫が可能となったため,患者ADLも上昇している.一方で,パーキンソン病の治療薬は,ほとんどの薬剤が神経系に作用するという性質上,副作用も多く,進行期には薬剤量や種類が増加するため,治療の選択が難しいと考えられている.そのため,エビデンスに基づいた治療の指針を提示することで,標準的な治療を開始できるように,2002年日本神経学会から初めてパーキンソン病の治療ガイドラインが作成された.そして今回,2011年版のパーキンソン病治療ガイドラインがついに出版された.前ガイドラインの良い点をそのままに残し,さらに分かりやすく,実地で使いやすいように工夫されたガイドラインである.
前との大きな変更点は,各論部分をクリニカル・クエスチョンと題し,臨床上の具体的な質問に答えるという形式になっていることで,大変実践向きになっている.治療法で難渋することが多い非運動症状については,14項目で48ページも割かれており,治療法,対処法が細かいところまで記載されている. パーキンソン病のアパシー,疲労についての治療法や対処法など,他ガイドラインには書かれていないような内容まで網羅されており,臨床の場で重宝することは間違いなく,神経内科外来にはぜひ置いておきたい一冊である.
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