書評
「認知症疾患治療ガイドライン2010 コンパクト版2012」―日本神経学会●監修 「認知症疾患治療ガイドライン」作成合同委員会●編
下濱 俊
1
1札幌医科大学・神経内科学
pp.853
発行日 2012年7月1日
Published Date 2012/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416101251
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本書は,日本神経学会,日本精神神経学会,日本認知症学会,日本老年精神医学会,日本老年医学会,日本神経治療学会の6学会の協力により作成された『認知症疾患治療ガイドライン2010』の『コンパクト版2012』である。2012と銘打ってあるとおり,わが国で昨年相次いで承認された2種類のコリンエステラーゼ阻害薬(ガランタミン,リバスチグミン),1種類のNMDA受容体拮抗薬(メマンチン)が臨床の場で使用可能となったこと,従来のNational Institute of Neurological and Communicative Disorders and Stroke and the Alzheimer's Disease and Related Disorders Association(NINCDS-ADRDA)研究班のアルツハイマー病の診断基準がNational Institute on Aging(NIA)とAlzheimer's Association(AA)により2011年に改訂が示されたことなどが本書に反映されている。具体的にはアルツハイマー病の薬物治療の項に新たに「病期別の治療薬剤の選択アルゴリズム」の図が加えられ,記載について改訂がなされた。上述の新たなアルツハイマー病の診断基準も収録されている。日常臨床でしばしば難渋する「せん妄」の治療法についても,新たに項が設けられ解説されている。レビー小体型認知症に対するNMDA受容体拮抗薬についての文献が追加され,それに合わせて推奨内容も改訂されているなど,この3年間の進展に対応した内容となっている。
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