連載 ほんとの出会い・4
贈り物に包まれて
岡田 真紀
1
1ノンフィクション作家
pp.706
発行日 2006年7月1日
Published Date 2006/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100315
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- 文献概要
月に一度だけれど,私は今定時制高校に通っている。といっても勉強するためではなく車椅子の介助人として。高校2年生のM君は足が不自由なので自分の力だけでは通学できない。そこで大勢のボランティアがグループを組んでM君の送り迎えと学校での付き添いを交代でしているのだ。
M君の教室は2階だが,夜の給食を食べる食堂は1階,家庭科室は3階,体育館は1階。エレベーターなどないので,学校の中での移動に車椅子は何の役にも立たず,M君の体を支えて階段を何度も上り下りしなくてはならない。ところが,ボランティアの私は学校に着いた後はほとんどすることがない。
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