特集 看護(みまも)る心の原風景を見つめて
患者からの形のない贈り物
小笠原 常子
1
1国立療養所多磨全生園付属看護学校
pp.153-157
発行日 1983年2月1日
Published Date 1983/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919779
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はじめに
先日のこと,私はテレビ映画でサリバン女史のヘレン・ケラーとの出会いとかかわりを描いた,〈炎の人〉を見た.以前にも見た同じ映画であったが,今回もまた強い感動を覚え,すっかりその中に引き込まれてしまった.サリバン女史のヘレンの心を開く鍵となったと思える,あの強烈な個性と信念は,どこから湧(わ)いてくるものなのだろうか.
それはサリバン女史自身が身につけてこられた精神力によるものだろうと私は感じている.ヘレンの前に立つまでのサリバン女史の人となりは,映画の中からは十分とらえきれなかったが,人間的に素晴らしい精神力の持ち主になるようないろいろな条件があったのではなかろうかと,想像を逞(たくま)しくしてみた.また私は,ヘレン・ケラーにおけるサリバン女史の存在は,人間的で教育的なかかわりの深さ,強さ,高まりを示す確かな実例のようにも思えるのである.
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