連載 木田っちの、介護ヘルパーをやってみたっち。・1【新連載】
未知なる時間との遭遇—「重度訪問介護」のヘルパーを始めました
木田 塔子
1
1東京大学医学部健康総合科学科
pp.364-368
発行日 2021年7月15日
Published Date 2021/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689200907
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毎朝5時半に起きて勉強する幼稚園児がいる、と聞いたら驚くかもしれない。それが私であった。
夜8時半に寝るようにしつけられていた私は、10分でも布団に入る時間が遅れようものなら親に怒られた。時間に厳しい親によって、時間は10分刻みで動くものになった。それは私の内面に深く刻み込まれた。「毎朝5時半に起きて幼稚園に行く前に公文を終わらせるのだ」と一度決めてしまうと、5時40分に目覚めようものなら、計画が崩れてしまったことが悲しくて大泣きした。その泣き声で、まだ寝ている親を起こしてしまうとまた怒られた。親は子どもが起きる時間はどうでも良かったのだが、なにせ私の中には10分刻みの時間が内面化させられていたのである。
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