扉
異邦人—未知との遭遇
鈴木 倫保
1
1山口大学医学部脳神経外科
pp.760-761
発行日 2000年9月10日
Published Date 2000/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436901934
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私は,この春よりご縁がありまして,本州最西端の大学で働くこととなりました.
卒業は昭和54年ですので,21年もの長きにわたり,東北地方の大先輩に育てていただいたことになります.先日,これまでに御世話になった施設を数えてみますと21施設にもなっており,北は帯広,南は大宮・水戸のラインで6道県にもわたっておりました.人事の突然の変更で,数週間で引っ越しといったこともありましたが,平均1年の在職期間であります.最低限の所帯道具と本を積み込み,新しい変化に対する希望と,かすかな不安を携えながら,車を運転する昔の自分がまざまざと蘇って参りました.どの勤務地でも病棟・外来・手術場のシステムと,上司の癖に迅速に適応し,患者さんに迷惑が掛からないようにと思ってはおりましたが,心のどこか奥底に土地の方々との間にすき間,「異邦人」,の感覚があり,離任間近では次の赴任地のことで頭がいっぱいになって,全力を尽くしたとは言い切れないところが多々ありました.
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