連載 トラウマインフォームドアプローチが必要なケースの現実を書く・2
中絶というトラウマ、周産期という危機
山田 嘉則
1
1クリニックちえのわ
pp.254-257
発行日 2021年5月15日
Published Date 2021/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689200886
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前号に引き続き、シングルマザーのAさんの話をする。Aさんが入院して身体拘束されるに至ったそもそものきっかけは人工妊娠中絶だった。彼女は周囲の意見に従う形で中絶し、その罪悪感に苛まれて精神的不調を来したのだった。
私が中絶の記憶に苦しむ人に遭ったのはAさんが初めてではない。「子どもを殺した」と自分を責め続ける人、中絶処置の記憶がフラッシュバックする人などを思い出す。そのような人に関わる中で必要に迫られ、私は中絶体験が及ぼす影響について調べたり考えたりしてきた。
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