連載 バルナバクリニック発 ぶつぶつ通信・58
中絶という選択
冨田 江里子
1
1St. Barnabas Maternity Clinic
pp.84-85
発行日 2009年1月25日
Published Date 2009/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665101368
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ヒーロットによる処置の果てに
中絶は殺人,いけないことだ。そういう考えをここでも多くの人は持っている。中絶を選ぶ人々の人間性も感情も背景も複雑で,簡単に説明が付くものではない。しかし誰だって,自分の意思で産むか産まないか(生かすか,殺すか)の決断はしたくはないはずだ。
夜クリニックに居ると,人目を忍ぶようにアイザが入って来た。緊急以外,時間外(夜間)は診療しないのは皆知っているはず。チラッとアイザの姿を見て私は手を休めず「どうしたの?」と聞いた。アイザはしばらくためらった後,「中絶する薬が欲しいの」と答えた。
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