特集 「生活保護」の本丸に迫る
Ⅷ.米国のTANF! この考え方と仕組みが、日本の就労支援の参考になる
谷山 牧
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1国際医療福祉大学小田原保健医療学部看護学科在宅看護学領域
pp.39-43
発行日 2021年1月15日
Published Date 2021/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689200833
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【この論文の要旨】
・生活保護利用者への就労支援(福祉から就労へ)が思うような結果が出せていない国が多いなか、アメリカの公的扶助制度TANFだけはうまく機能しているという。
・TANFでは、ソーシャルワーカーが担当する人数は日本の2分の1。対象者1人ずつに面接し、就労に向けて何が必要かを検討し、その人を評価する。必要に応じて教育プログラムを提供し、就労体験をしたのちに就労へつなげている。
・生活扶助(金銭)を受けるために、対象者には「福祉から就労へ(WTW)」活動への参加が義務付けられている。生活扶助1世帯あたりの平均給付月額は、生活全般をまかなえる金額ではない。また、サービスの提供期間が最長5年に定められていることからも、「就労」に対するモチベーションが維持されやすい。
・日本と違い、ソーシャルワーカーは、不正受給を防止する役割を負っていない。給付する人と適正を問う人とが役割分担していることは、利用者を中心としたソーシャルワークを行う上で非常に重要。
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