連載 患者さんが「怒った」事例をアセスメントして今日からの精神科看護に活かしたい・3
ホールの椅子を蹴散らしたAさん
田辺 有理子
1,2
1横浜市立大学医学部看護学科
2一般社団法人日本アンガーマネジメント協会
pp.82-84
発行日 2020年1月15日
Published Date 2020/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689200712
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記録には現れないもの
その日の病棟は比較的穏やかでしたが、それでも日常業務はけっこう忙しく、看護師のNさんはその時間の一連の仕事を終えてようやくナースステーションに戻ってきました。一息ついて、記録に取りかかろうというところにやってきたのがAさんでした。Aさんは20代の男性です。統合失調症で入院していました。
AさんはナースステーションでNさんと話した後に、ホールの椅子を蹴散らしながら部屋へ戻って行きました。静かだった病棟が騒然となり、他のチームの看護師も駆けつけましたが、病棟の看護師だけでは興奮しているAさんを止めることができません。医師を呼び、他病棟からの応援を要請して、Aさんは隔離室に入ることになりました。
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