特集2 3回シリーズ 看護のための性格論―病名「以前」の手がかりを、もっと豊かに
第1回 臨床の視点を豊かにする「性格論」とは
杉林 稔
1
1愛仁会高槻病院精神科
pp.45-55
発行日 2013年5月15日
Published Date 2013/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689101178
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冬の夜空を見上げると、星々の輝きがある。星々は線で結ばれて星座になる。あれがオリオン座、あれがカシオペア座。教えられて初めて見えた図形や絵柄は、一度知ってしまうと私たちの頭の中に固定される。夜空を見上げるたびに、1つひとつの星を見るより先に、見慣れた星座図形が目に飛び込んでくる。
人の性格というものもそれに似ている。初めは手探りである。その人の発言や振るまいを1つひとつ見定めているうちに、それらをつなぐ線が見えてくる。線は次第に図形となって、その人特有の言動のパターン、つまりは性格として周囲に認知されるようになる。一度認知された性格は、周囲の人々の心の中で固定化されて生き続ける。性格を把握することはその人とつき合ったり交渉したりするうえで役に立つが、ときにはそれが固定観念となって、その人を見る目を曇らせてしまうこともある。
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