特集1 心が折れない看護研究
人からも情報からも“孤立しない人”だけに見つかる研究の扉
萱間 真美
1
1聖路加看護大学精神看護学
pp.10-13
発行日 2013年1月15日
Published Date 2013/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689101126
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★孤立しない
私たちは精神科の臨床でさまざまな対象に支援を提供する。そのときによく思うのは、必要な支援が得られなくて困っている人たちの多くは、人にうまく相談したり、支援を受けるための情報を得ることが上手でないということだ。それは「孤立」と呼ばれる現象だ。「孤立」が起こるときはどんなときか。自分に自信がなく、誰かに何か聞いたら「そんなことも知らないのか」とばかにされると思い込んでいるとき。あるいは、自分の手順や思考を変更することができず、柔軟性に欠けるときかもしれない。
研究をしようとする人が陥るのも、これと全く同じ「孤立」であることが多い。自分の関心やテーマが特別だというプライドを持つことはとても大切だが、度が過ぎると孤立してしまう。他者に話したり、他者の経験に学ぶことをしなくなるからだ。現代は、膨大な情報があふれている。データベースやインターネットを活用すれば、少し前なら何か月もかかってやっと集まっていた情報が、1時間もあれば手に入る。しかし、だからこそいったん孤立が起こると、周囲の流れにあっという間についていけなくなる。すると、ますます孤立する。悪循環が生じるのだ。
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