書評
「認知症疾患 治療ガイドライン2010 コンパクト版2012」
六角 僚子
1,2
1東京工科大・看護学
2認知症ケア研究所
pp.119
発行日 2012年11月15日
Published Date 2012/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689101118
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看護学生・看護師が使える医学専門書
医学専門書の書評を依頼されたのは初めてで、果たして私が理解できるのかと疑問を感じながら、あっという間に読み終えた興味ある本でした。
非常にわかりやすいQ&A形式で書かれ、質問に対して簡単な回答、解説・エビデンスという構成になっています。簡単な回答には、5段階の「推奨グレード」が付いており、多くはグレードB、C1と表示されていました。ちなみにBは「この回答は科学的根拠があり、行うように勧められる」、C1は「この回答は科学的根拠がないが、行うよう勧められる」というグレードとなります。その後は詳しい解説・エビデンスと続き、回答を裏打ちする研究結果がいくつか紹介されています。質問内容が精神医学、病理学、薬理学、看護学(介護)など幅広い分野にわたっていることに感動しました。書名が治療ガイドラインということで、治療内容や薬物に特化しているというイメージでしたが、認知症者の周囲を囲む専門職にとっても有益な内容であることが理解できました。介護者の負担や家族介護者に対する心理社会的介入など、家族介護者の問題についても触れ、わかりやすい解説となっています。専門職者のみならず、看護学生の臨床実習時に行うアセスメントや卒論での文献学習でも十分に活用できるものと考えます。さらにコンパクト版ということで、エッセンスが凝縮していること、持ち歩きやすいことは読者にとってはうれしいことです。
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