患者に嫌われることの意味

中井久夫と神田橋條治──独特の切り口からなされる論述と、その圧倒的な臨床において、現役臨床家から熱い視線を送られる精神科医ふたりである。

2011年10月8・9の両日に兵庫県有馬病院有志が両氏を招いて勉強会をおこなうと耳にした小誌編集部は、なにはともあれICレコーダーを持参して有馬病院に向かった。そこで再録した一部を、今号と次号（3月号）の2回にわたって紹介する。

第1回は、「治療者への嫌悪をぶつける女性患者の経験から」と題された症例。若手精神科医の提出する困難事例に、はたして両氏はどう応えるのか！？

＊事例提供者　A医師（精神科医歴約10年、男性）