特集2 精神科看護師が読んでおくべき『災害時のこころのケア』
―アウトリーチ活動とサイコロジカル・ファーストエイド―現場で「そばにいられる人」であるために
萱間 真美
1
1聖路加看護大学・精神看護学
pp.32-36
発行日 2011年11月15日
Published Date 2011/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100942
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「心の応急手当」とは
ファーストエイドと聞くと、心肺停止や外傷を連想する。バンドエイドを思い出すこともある。心の外傷、それをトラウマと呼ぶ。いつも心を守ってくれている外皮が裂け、傷つき、弱くなって心を守れなくなっている状態。血を流している状態。放置すれば、傷口からどんどん弱っていくかもしれない。そこに最初に手当てする。手を当てるにはどうすればよいか。
外傷のある状態とは、自分を守るものが危うくなっている状態である。そのような人は、弱い。弱っている人に接するには鉄則がある。中井久夫氏はこれを「ヒポクラテス時代からの常識」とし、「害するなかれ」「そばにいること」の2点としている。バンドエイドは傷に密着して保護し、そして細菌などの感染を防止する。害するものを遠ざけ、傷を保護する。
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