特集2 精神科看護師が読んでおくべき『災害時のこころのケア』
サイコロジカル・ファーストエイドには何が書かれているか
明石 加代
1
1兵庫県こころのケアセンター
pp.27-31
発行日 2011年11月15日
Published Date 2011/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100941
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一度に大勢の人が巻き込まれる災害・大事故・テロなどが起こったとき、被災者となった人々に対して、どのような「こころのケア」を提供できるでしょうか。トラウマという言葉は有名になりましたが、からだのケガと違って、こころのケガの応急手当の方法は、まだあまり知られていません。
最近では「こころのケア」という言葉も、よく知られるようになりました。しかし、具体的に何をすることがこころのケアになるのかということになると、専門家のあいだでさえ、さまざまな意見の違いがみられます。ケアを提供する側と提供される側の認識にも、浅からぬ溝があります。社会や支援者はこころのケアを必要なことだと考え、可能な限り早く提供しようとします。しかし被災地でそうした活動をおこなっても、当の被災者にはあまり歓迎されないのが実情です。身近なレベルでも、こころに傷を負った人に対してよかれと思ってかけた言葉が、かえって相手を傷つけてしまうといったことは、さまざまな場面で起こっているのではないでしょうか。
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