特集 コミュニケーションを処方する—ユマニチュードもオープンダイアローグも入ってます!
【理論編】
「患者に共感する」とは、どういうことか
尾藤 誠司
1
1国立病院機構 東京医療センター 総合内科
キーワード:
共感
,
価値に基づく医療
,
医療コミュニケーション
,
ナラティブ・メディスン
Keyword:
共感
,
価値に基づく医療
,
医療コミュニケーション
,
ナラティブ・メディスン
pp.572-575
発行日 2017年5月15日
Published Date 2017/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429200902
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Case
あなたは、卒後6年目の30歳男性で、2年前に結婚し、内科専門医資格を取得して、少なくともこの5年ほどは、人生において社会的にも経済的にも大きな破たんなく過ごしている総合診療医である。現在は、一般内科医として都内にある400床程度の総合病院に勤務し、病棟業務とともに週1回の初診外来を担当している。
患者は、本日あなたの初診外来を受診した32歳の独身女性で職業はネイリスト、1カ月間持続する両手の痛みを主訴に来院した。あなたは、いつもどおり、医療面接においてオープンクエスチョンから導入し、患者が訴える症状に対して「それは大変でしたね」「つらかったですね」などの共感を表現する言葉を発しながら、鑑別のための面接を進めていった。
そして、検査計画を立て、診察を終了する際に「まあ、まだ1カ月だし、おおむね大丈夫だと思いますから、安心してくださいね」と話したところ、患者からけげんな表情とともに「大丈夫じゃないから、今日仕事を休んで受診したんです。勝手に決めつけないでください」という思いがけない言葉が投げかけられた。
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