本を読むとき
『やさしいベイトソン―コミュニケーション理論を学ぼう』
蒲生 裕司
1,2
1北里大学東洋医学総合研究所臨床研究部
2北里大学大学院医療系研究科
pp.81
発行日 2009年3月15日
Published Date 2009/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100599
- 有料閲覧
- 文献概要
物語を1つ。
「自分がまだ心理学の大学院生だったときです。その日の実験が終わり、いつものようにみんなでお酒を飲んでいたときに、酩酊したS助教授が私に近づいてきました。そして私をはねのけるような仕草をしつつ、『おまえのことが好きだ』と言うのです。『は? 何ですかそれは?』と聞くと、『ベイトソンのいうダブルバインド』と言い放ち、キョトンとする私を尻目に去っていきました」。
私とベイトソンの最初のすれ違いでした。
その後、大学院を修了し、医学部に入学、卒業という長い長いモラトリアムを抜け出し、世間に出た私に突きつけられた現実が「コミュニケーションの難しさ」でした。
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.