海外だより 印象記と研究室だより
スウェーデンだより
本郷 利憲
1
1東医歯大(歯)生理学教室
pp.98-100
発行日 1965年4月15日
Published Date 1965/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902618
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
私が当地へ着きました8月末は東京とはうつて変つた涼しい夏でしたが,あれよあれよと思う間に木の葉が散り,雨の秋を通り過ごして,いま音に聞く北欧の冬を迎えています。日の出が9時,日没が3時過ぎ,太陽は驚くほど低く,日光がほとんど水平に部屋の奥までさしこんできます。先日おもわずその気になつて測つてみましたら,正午に9.5゜という低さでした。しかしここGöteborg(イエテボリ)は古来不凍港として知られている所だけに北緯58゜という緯度からは想像できないほど暖かく,雪も2〜3回降つただけで,湿度の低いせいもあつてか,寒さはむしろ東京よりしのぎやすいのではないかと思えるくらいです。したがつて夜が長いことを除けば冬ごもりという感じはさらになく,研究室の生活も日常の生活もごく普通に営なまれています。
Göteborgは起伏の多い市で,基礎医学の教室もまた小高い岩山の上にあります。建物はいずれも新らしく,私のいる生理学教室はその一番端の一ブロックをなし,地上4階地下2階の建物(写真)の中に,Neurophysiology,circulatin,Endocrinologyの研究室が集まつています。研究室は設備その他けつして豪華なものではありませんが,研究者の仕事がやり易いよう実に細かい配慮がなされているのには感心させられます。
Copyright © 1965, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.