特集2 アルコール離脱期に必要な身体ケアと看護を理解しよう
[2]肝性脳症 看護編
安積 美保
1
1元・東京アルコール医療総合センター
pp.56-59
発行日 2007年7月15日
Published Date 2007/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100421
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新卒時に勤務していた内科病棟で、私は多くの肝硬変の患者さんと出会いました。彼らは何度も入退院を繰り返し、日々苦しい処置を施され、ついには苦悶に満ちた表情のまま亡くなった患者さんもいました。
彼らの病名は、アルコール性肝硬変、そして肝性脳症でした。なかには、病名欄にアルコール依存症と書かれていた人もいました。病気の名前しか知らなかった当時の私は、アルコール依存症を不治の病だと思っていました。
たしかにアルコール依存症に完治はありません。でも、「生きる」ことのできる、「回復」できる病気です。離脱期や肝性脳症にあたって適切な医療を施し、危機を脱し、全身状態を整えていくことには、患者さんの回復と無限の可能性が託されています。看護師としてそこに託されたことを全うし、感性のアンテナを張りめぐらせて迅速にかかわることが、次のプロセスにつなげるためにはとても大切なのです。
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