特集2 「抗うつ薬」がわかる。
種類の違いは何の違い? 副作用はどうして起こるの?
姫井 昭男
1
1大阪医科大学
pp.54-67
発行日 2006年3月1日
Published Date 2006/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100392
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
「うつ」と聞いて連想される言葉のなかで、上位にランクされる言葉に「自殺」があります。もちろん自殺の原因がすべてうつ状態やうつ病ではありませんが、その多くを占めることは確かです。この数年、年間の自殺者が連続して3万人を超えているという新聞記事を覚えている人は多いでしょう。ほとんど毎日報道されるほど多発する交通事故でも、その死亡者が1万人を超えないという事実と比較してみると、いかに自殺者が多いかが実感されます。
現代は「ストレス社会」とよくいわれますが、その「過剰なストレス」(正確には「ストレッサー」というべきですが)は、働いている人だけに限って負荷されているのではなく、複雑な現代社会にかかわるすべての人に負荷されています。私が複数の企業の産業医をしていて特に感じるのは、IT社会がもたらした影響です。IT社会は全年齢の人々に等しく有益なものを提供することは稀で、“若者にとっての便利は、高齢者にとっては不便”といった場合が非常に多くあります。そういったところも近年増え続ける中高年層から老齢層の人たちの自信喪失や、孤独、不安、ひいてはうつの原因の1つになっている場合があります。うつが人ごとではないことがよくわかっていただけるでしょう。
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.