連載 ひそかに読まれている本・5
『ジェイン・オースティンの手紙』
棘のあるユーモアが踊る手紙
平尾 隆弘
1
1編集者
pp.93
発行日 2004年9月1日
Published Date 2004/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100272
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ジェイン・オースティンの手紙は,その作品(『高慢と偏見』『エマ』など)と同じように,否それ以上に,英国の田舎のこまごました日常生活の羅列である。家族や親族の近況,知人たちのゴシップや人物評定,退屈をまぎらす舞踏会や衣・食・住のエピソード……。
彼女は,相手に直接話すとおりに書くのが手紙のコツだといっている。大半は2歳上の姉・キャサンドラ宛だから,いわば一姉妹のありふれた日常会話が1冊の本になったわけである。いったいどこが面白いのか。
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