連載 当事者研究・15
〈研究テーマ〉「生活の“質”の研究―金欠を生き抜く方法」
坂 雅則
1
1べてるしあわせ研究所・金欠研究班
pp.84-87
発行日 2004年9月1日
Published Date 2004/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100270
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1.はじめに
僕は,昨年の11月に浦河にやってきた。札幌で新聞配達をしながら一人暮らしをしていたが,“慢性金欠病”になり,僕も家族もお手上げ状態になってこちらに来ることになった。
浦河ではみんなが自己病名をつけているので,僕も自分の苦労に合わせて「統合“質”調症・難治性月末金欠型」と名づけた。
この“質”というのは,「質屋」の質から取った。僕が浦河に来て一番最初にデイケアの仲間に「浦河って質屋はあるんですか?」と聞いたことで有名になってしまった。
札幌では,たくさんの質屋さんと取引をした。札幌の町を自転車で走り回って情報を集めて,いろいろなタイプの質屋を覚えた。電化製品を引き取ってくれる質屋,家具を引き取ってくれる質屋などを開拓した。そのうちだんだん金も回らなくなり,具合も悪くなって病院にもお世話になった。そんな生活を変えるために浦河に来て研究をはじめることになった。
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