書論 『援助者必携 はじめての精神科』
“孤独な判断”を仲間に保証してもらえたような安堵感
西川 宏
1
1訪問看護ステーションふじと
pp.88-90
発行日 2004年7月1日
Published Date 2004/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100247
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精神の訪問看護師として地域援助サービスに携わる私たちは,利用者との間に援助関係を成立させる術を身につけるべく,日々研鑽に励んでいる。訪問に合意を取りつけ,上手にインフォームド・コンセントをし,契約にまで結びつける。その過程においても,よい関係を結ぶためにさまざまなコミュニケーション技術を駆使している。
しかし精神の訪問看護師となって5年がたつ自分自身,利用者との関係においては再三にわたって迷路にはまり込み,精神的生傷は絶えることがない。オロオロと動揺したり,利用者に陰性感情を抱いたり,ときには陰性感情にさえ気づかずにひたすら悩み苦しむこともある。看護師としてのアイデンティティーの幻想にしがみついて,自分の努力に比して変わらない現状を嘆くこともある。
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