特集1 はじめての抗精神病薬「副作用」マニュアル 前編
➀消化器系
急性胃拡張
長嶺 敬彦
1
1吉南病院(内科)
pp.29
発行日 2005年7月1日
Published Date 2005/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100113
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稀な病態ではありますが、統合失調症の患者さんの生命に危険が及ぶ病態として、急性の臓器拡張があります。急性胃拡張です。消化管である胃の緊張が全くなくなり、ひどい場合は腹腔全体が胃で占められることもあります。胃破裂を起こす危険性もあります。著しく拡張した胃や腸が胸郭を圧迫し、呼吸機能が低下することもあります*3。
図5に示した症例は、統合失調症で抗精神病薬をかなり大量に内服していた方です。呂律が回らず、訴えがはっきりしませんでしたが、急激に食欲が低下し、呼吸状態が悪化しました。腹部膨満がみられたので、腹部レントゲンを撮影しました。拡張した胃、拡張した腸、拡張した膀胱で、腹部全体が膨れ上がっています。
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