連載 中井久夫連続講義・4
言っていいこと、いけないこと
中井 久夫
1
1兵庫県こころのケアセンター
pp.68-73
発行日 2006年5月1日
Published Date 2006/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100050
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「患者さんは、妄想や幻聴をそれほど嫌っていない」ということをお伝えしたところで、前回は時間切れとなりました。その続きから始めましょう。
妄想を語る患者に何を言うか
妄想の効用――1つのことに着目できる
妄想を話すときの患者さんの口調は、平べったいですね。妄想というものには、心というか、情じょうが通ってないんです。でも通ってないからこそ、「世界がどうにかなってしまう」という大変な話も話せる。患者さんのなかでものすごく大きな変化が起こるときですから、万一感情がこもっていたら、大変なことになってしまうでしょうね。
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