連載 精神看護キーワード事典・13
快楽は脳を汚染する??―メディア依存と少年犯罪について
萱間 真美
1
1聖路加看護大学・精神看護学
pp.74-78
発行日 2006年5月1日
Published Date 2006/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100051
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●「鍵っ子」の孤独
小学校低学年の頃、私はテレビばっかり観ていた。親は仕事で家にいなかったし、面倒をみてくれた祖母は病気で入退院を繰り返していた。その頃は学童保育のようなシステムもなく、「鍵っ子」として家に帰り、家では「テレビっ子」として長時間テレビを観ていた。覚えているのは「エスパー」とか「アタックNo.1」などのテレビ番組だ。テレビを観ることは楽しかったが、その場の孤独感と、そして子どもなりに「こんなにテレビばっかり観ていて、私は大丈夫なんだろうか」と不安を抱いたことを覚えている。
このようなテレビの長時間視聴をはじめ、テレビゲームへの長時間の没入、ネットやメールなど広い意味でのメディアへの依存が、脳の前頭葉の機能低下(後悔しない、切れやすい、感じないという特徴)を招き、今日の少年による重大犯罪を招いているのではないかというのが、今回取り上げる本『脳内汚染』(岡田尊司著、文藝春秋)の主張だ。
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