米国短報
ブームにみる米国文化
Scott 渡辺 由佳里
pp.696-697
発行日 1998年9月15日
Published Date 1998/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688902468
- 有料閲覧
- 文献概要
標準体重の数値が見直され,厳しくなったために一夜にして米国民の55%が太目~肥満に属するようになったことを前号でお話しました.毎年国民の平均体重が増加している事実は確かに深刻ですが,根本的な改善方法を提示せずに基準値だけを下げることにどういった意味があるのかは不明です.
こういった不可解な出来事のひとつに大学卒業生の教員試験があります.今年初めて行なわれた教員試験の結果,マサチューセッツ州の受験者の57%が不合格だったことから,合格ラインを下げて合格者を増やそうとする教育委員会と,来る選挙で再選を狙う知事の間でラインを下げる下げないでもめました.私が不思議に思ったのは,「教育は我々の子供たちの将来にもっとも大切もの.だから教員のスタンダードを下げるわけにはいかない」いう知事のコメントです.合格ラインを上げても根本的な問題が解決されなければ教員のスタンダードが上がる筈はありません.そうでなくても給料の安い教員にはなり手がないのです.合格ラインを厳しくしたら,さらに教員不足が深刻化しますが,これにはどういう対策を講じるのでしょう?
Copyright © 1998, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.