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1977年9月の臨床検査目動化研究会で"血液形態検査自動化の趨勢"と題して教育講演があり,演者は,"現在市販機種は,それぞれ特色があり,スクリーニング検査に用いることは可能である.しかし最近新しい機種も発表されようとしており,演者としては,今後の2,3年に期待したい"と結んだ.要はまだ待て,もっと良いものが出る可能性があるということらしい.この夏,米国で熱心に開発を行っていた2社が,開発商品化を中止したといううわさが流れた,新しい機種が出る一方で開発中止とは,一体どういうことなんだろう.
さて米国では,確かに一社は商品化を中止した.それは事実そんなに売れるとは思われないが,もし売れたとして,機械の維持や修理に多数の技術者を各地に常駐させる費用を考えると,今までの莫大な開発費を無駄にしても得策と考えたということである.ほかは従来販売を引き受けた会社が,思ったように売上げが伸びないので,販売契約を解除したたあで,製造会社は担当部局の責任者を交代させて,直接販売に切り換えたというのが真相であった.この交代劇のごたごたが誤報の種となったらしい.製造会社ではそのうわさを流したと思われる競争会社へ,裁判も辞さない強硬な態度で申し入れをやったとかの話も付いている.NASA計画の大幅な縮小で,多数の技術者がなだれ込んだ会社では,医療産業に目を付け,新しい開発商品として取り上げたのが白血球自動分類装置であって,会社の株主対策だという人もいた.どこまで本当か分からないが,真に医療の向上を目して開発されたと信じていた我々には,いささかショッキングな話でもある.事実,我々はこの種の良い機械を現実に欲している.しかし新しい物好きで,ハイジャッカーに16億円も簡単に出せるぐらいの日本国の病院のことだと,米本国の次に最大の市場と,その懐をねらっていることも確かなようだ.
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