扉
略語ブーム
戸谷 重雄
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1慶応義塾大学脳神経外科
pp.599
発行日 1986年4月10日
Published Date 1986/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436202206
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世の中,すべての面で驚く程の早さで進歩している.10年一昔といわれていたが,今では5年一昔,いや3年一昔ともいわれている.文章を書くときも,不必要な手間を省く意味で略語あるいは記号を使う機会が増えてきている.これは確かに便利な場合が多い.特に普段使い慣れてはいるが,日本語であれ,外国語であれ,実際に書くと難しい字であったり,長かったりするような言葉が繰り返し出てくるような時は,略語あるいは記号を使うことによって,煩わしさから解放されることが多い.ところが,実際に略語化または略号化されたものを見ると,そこには一定の法則あるいは約束というものがないため,思わぬ誤解や混乱が起きる場合がある,したがって同じ語の略語でありながら論文によって違う場合があり,ときにはあまりにも自己流に過ぎると思われるものもある.また論文の始めにわざわざ,以下何々と略すと書いてありながら,実際にはその後の文章の中に,1-2回しかその語が使われていない論文を見かけることがある,このような場合はやはり略語などを使わない方が,よいのではないかと思われる.
疾患名ばかりでなくCT, NMR, MRI, DSA, CAG, EEG, SEP, VEPなど検査に多用される略語は多いが,これらなどは,脳神経外科医の誰もが常識的に知っていることである.
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