連載 訪問看護 時事刻々
今月の話題 訪問看護の価格
石田 昌宏
1
1日本看護協会政策企画室
pp.520-521
発行日 1999年7月15日
Published Date 1999/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688902338
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現行の医療保険の訪問看護ステーションは,休日や時間外の訪問を行なった際に,各訪問看護ステーションが定めた利用料を徴収できる.利用料をいくらに決めるかは,各ステーションの管理者にとって難しい課題である.高齢者にとっては保険料を払っていない上に1回250円の自己負担であるが,訪問看護ステーションからみれば実際は1回の訪問あたり10,000円近くの費用をかけている.利用料の価格設定はこのようなギャップをどう説明できるかという問題でもある.
これらの利用料に関して,4月に厚生省が発表した「訪問看護実態調査の概況」に調査結果がまとめられている.一言でいうと,都道府県別,事業所ごとに非常に大きなばらつきがある.例えば平日に時間外30分の訪問看護を行なった場合の時間外料金は全国平均で2,167円であるが,都道府県別にみると最高の東京都では4,244円,最低の佐賀県では743円と約5倍の差がある.また同じ東京都でも事業者によって数百円から10,000円まで十数倍の差がある.同じ訪問看護サービスを提供している事業者同士の価格の差としては大きすぎるきらいがある.この結果はまるで利用料の価格設定に悩む管理者の姿を象徴しているようだ.
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