連載 老人虐待―米国からの報告・5(最終回)
チームアプローチの必要性とその課題
江原 勝幸
pp.77-80
発行日 1998年1月15日
Published Date 1998/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901728
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専門職を超えた協働への動き
老人虐待への取り組みは無論ソーシャルワーカーだけに限られたものではなく,看護婦,ホームヘルパー,ケアワーカーにも独自の専門性と役割を生かした問題発見,介入,予防への責任性が問われます.その中で老人を対象にする全ての専門職を統合した協働サービスへのチームアプローチ(Multidisciplinary Team Approach)が非常に大切です.
アメリカでは多専門職種チームを生かした老人虐待に対する取り組みがさまざまな形で実施されており,その有効性を証明するレポートが学術誌に報告されています.身体的,心理的,経済的等の多岐の長年にわたる問題を抱えるお年寄りを処遇するうえで,在宅看護や介護に携わる皆さんも単一職種の限界を感じているはずです.老人虐待の問題を考えるうえでも,従来の単一職種での対処では複雑で困難な虐待ケースに質の高いサービスを提供することは限界があります.ここでは特にチームの課題と問題点に焦点を当てて多専門職アプローチについて考察してみましょう.
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