音楽でホッとひと息―現代人に贈る癒しの音楽
―モーツァルト―「フルートとハープのための協奏曲」/「クラリネット協奏曲」
竹重 敦
pp.677
発行日 1997年9月15日
Published Date 1997/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901715
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今月はモーツァルト.モーツァルトのことを今更あれこれ言ってみても始まらない気がする.クラシックのあらゆる作曲家の中で群を抜いて愛されている空前の天才という以上に何を言う必要があろうか.長い音楽史の中でも類(たぐい)稀な恐るべき早熟の天才であった彼は,正しく「神童」そのものである.35年という短い生涯に珠玉の作品ばかりを600曲以上も作曲したことは,人類の奇跡というよりも,音楽の神がその音楽を伝えるために,ある人間の肉体にのり移ってひたすら音楽を書かせたかのように思われてならない.その音楽は限りなく美しく,正に天上の音楽と呼ぶのがふさわしい.
彼の膨大な作品の中で,私が最も心を魅かれるのは協奏曲である.ピアノ協奏曲は27曲もあり,いずれ劣らぬ傑作揃いで,モーツァルトの魅力はピアノ協奏曲に尽ると言ってしまいたい位だ.しかし,今回はそれを外して管楽器のために作曲された協奏曲を取り上げてみる.数こそ少ないものの,これ又素晴らしい作品ばかり,その中から「フルートとハープのための協奏曲」と「クラリネット・協奏曲」の2曲を紹介する.協奏曲という分野がモーツァルトにうってつけだったことに加えて,彼は何よりも管楽器の扱いが巧妙―正に天才的―だったのだ.モーツァルトには管楽器が実によく似合う.
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