音楽でホッとひと息―現代人に贈る癒しの音楽
―ヴァイス―「リュート作品集」
竹重 敦
pp.522
発行日 1997年7月15日
Published Date 1997/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901691
- 有料閲覧
- 文献概要
人の心を癒す楽器は何か.これは簡単に答えを出せそうにない,個人の好みの問題が大きいことに加え,そもそもどんな楽器であっても,美しい音と響きを求めるという人間の切なる願いと欲求の中から生まれてきたものであり,究極的には人を癒すことを目的にしているとも言えるからである.だが,その中でも響きそのものが特に人を癒しやすいという楽器があることも事実.ハープやフルートあたりがその代表的なものだろうが,普段から古楽器を中心に聴いている私としては,どうしても古楽器にその対象を見い出してしまうのである.
古楽器というのは,現代のオーケストラなどで使われている楽器を現代(モダン)楽器というのに対して.バッハに代表されるバロック音楽,あるいはそれ以前のルネサンスや中世の音楽が作曲されたその当時の楽器のことをいう.「古い時代の音楽をその音楽が創られた当時の楽器を用いて演奏する」これが今日すっかり定着した古楽演奏の基本であり,原点である.
Copyright © 1997, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.