連載 在宅看護論の実習・4
家族の介護とQOL
川村 佐和子
1
1東京医科歯科大学医学部保健衛生学科
pp.725-727
発行日 1997年10月15日
Published Date 1997/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901573
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家族の介護力についての情報の収集
◎なぜ家族介護力のアセスメントが必要か
在宅看護において,なぜ家族の介護力をアセスメントする必要があるかという理由は,2つあります.1つは,療養者にとっての家族という視点ですが,家族は療養者のもっとも身近にいて,もっとも療養者のことを案じて,介護してくれる人たちであるということです.この意見にはいくつかの前提があります.①家族は療養者を大切にしている,②家族は療養者と同居あるいは近くに住んでいる,③家族は介護する能力(介護に,健康と,必要な介護をできる理解力や技術力などの条件)を備えている,④療養者の家庭運営にとって,介護にあたる条件をもっている(例えば,乳児の保育をしなければならない場合や,家計維持者である場合には,その家庭にとって介護ではなく,他にも重要な役割を求められている),などです.家族の役割には,直接の介護者としてと,介護のキーパーソンとしてと,2つあります.どちらを担えるのか判断することも必要です.
2つめの理由は,介護を提供している家族自身の健康や生活の問題が看護の対象であるということです.まず,介護を担当している家族の負担が大きいことが問題となっています.
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