特集 精神訪問看護の基本を学ぶ
精神訪問看護を展開していくためのマニュアル
中山 洋子
1
,
吉池 由美子
2
,
萱間 真美
3
1福島県立医科大学看護学部
2三菱総合研究所医療福祉システム部
3東京大学大学院医学系研究科
pp.17-23
発行日 2002年1月15日
Published Date 2002/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901381
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はじめに
精神障害者への訪問看護は,長期在院後に社会復帰した患者の地域での生活を支えるために,精神科医療機関の看護スタッフによって行なわれてきた歴史がある。平成6年の健康保険法等の改正によって,訪問看護ステーションの訪問対象が精神障害者を含む高齢者以外の年齢層に拡大され,それに伴って精神障害者に対する訪問看護も医療機関における精神科訪問看護から訪問看護ステーションを基盤とする精神訪問看護へと発展していった。しかし,実際には精神障害者への訪問看護を実施している多くの訪問看護ステーションは,精神医療機関に併設されたものであった。
平成9年度に全国訪問看護事業協会によって実施された「精神障害・痴呆の対象者への訪問看護ステーションからの訪問の現状についての調査」によると,回答のあった736施設のうち,精神障害者を訪問している訪問看護ステーションは172施設(23.4%),痴呆患者を訪問している訪問看護ステーションは508施設(69.0%)であった1)。これらの精神障害者や痴呆症患者へ訪問している訪問看護ステーションの大半は,これまで高齢者等を中心に訪問してきた訪問看護ステーションであった。そのために精神科医療機関等との連携が十分に図れていなかったり,精神科看護の経験を持つスタッフがいないために,精神障害者への訪問を依頼されたときにどうすればよいのかわからないといった悩みを抱えていた。
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