特集 精神訪問看護の基本を学ぶ
ステーションが精神訪問看護にかかわる意味
仲野 栄
1
1近森会援護寮まち
pp.12-16
発行日 2002年1月15日
Published Date 2002/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901380
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はじめに
精神訪問看護の過去,現在
精神分裂病をはじめとする精神疾患は,幻覚妄想という急性期の病状をどのようにコントロールするかよりも,それ以後に遷延する意欲や活動性の低下等の陰性症状といかにうまくつきあいながら生活していくかということが大きな課題となる。
日本の精神科医療では,1965年の精神衛生法の改正から,1988年の精神保健法,そして1995年の精神保健及び精神障害者の福祉に関する法律まで,患者を病院から地域に帰して精神障害者の地域での生活を支えることに重点をおいた理念が示されてきた。しかし,現実問題として,急性期の患者を迅速に治療して地域へ帰すという病院本来の機能は十分に発揮されず,帰る場所を失くした患者が,今なお,長期入院を続けているという現状がある。このような状況を生み出した背景には,精神障害者の地域生活を支援する社会資源の不足があり,授産施設や精神障害者地域生活支援センター等の社会復帰施設の整備が進んできた今もなお,それが十分とは言えない状況が続いている。
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