特集 介護保険をめぐる地域のネットワークとルールづくり
特集3
21世紀型の新たな市民活動―介護保険市民オンブズマン機構・大阪の試み
堀川 世津子
1
1特定非営利活動法人介護保険市民オンブズマン機構・大阪(事務局)
pp.17-22
発行日 2001年1月15日
Published Date 2001/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901208
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社会的課題に対応する,第3のセクター“市民”
1995年の阪神淡路大震災の年が「ボランティア元年」と言われたように,あの災害支援を契機に,ようやく私たちの社会にもボランティア活動,NPO活動,総じて市民活動が定着してきたと言っていい。そしてそれらは今,従来のような「行政を補完する活動」としてではなく,「社会に不可欠な活動」として認識され始めている。
これまでの日本が,行政という第1セクターと企業という第2セクターの,すなわち2つの歯車で社会を回してきたことは周知のとおりだ。とりわけ戦後の高度成長は,この2つの抜群の蜜月状態(良く言えばパートナーシップ,悪く言えば癒着)が支えてきた。そこでは市民社会や市民社会の論理はネグレクトされ,市民活動とはせいぜい,2つのセクターを補完するものか,もしくはあまりにも度を越したアンフェァなふるまいをチェックする「リスクヘッジ的機能」としてしか位置づけられてこなかったのではないか。確かに,これまでの市民活動は「市民運動」と言われてきたように,多くは告発型であったり糾弾型であったり,そうでなければ既存のパワーセクターに屈服する請願型であったりする場合が多かった。社会に必要な財やサービスの提供は,基本的には行政という第1セクターと企業という第2セクターが担えばよく,その2つが担うにはなじまない「社会的課題」を市民セクターが担えばいい,という考え方が支配的であったように思う。
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