特集 在宅ホスピスと訪問看護
はじめて在宅で患者を看とって
数藤 綾子
1
1白十字訪問看護ステーション
pp.404-408
発行日 1996年11月15日
Published Date 1996/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901195
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最期のとき
5月5日の午前1時30分,はじめのポケベルが鳴りました.チアノーゼがひどくなり,呼吸が荒くなったと奥さんからのコールでした.自分にも言い聞かせるかのように,まず落ち着くこと,そして本人は決して苦しくないのだから手を握ってみんなで話しかけることをゆっくり繰り返すよう助言し,最後に大丈夫ですね?と確認して電話を切りました.
跳び起きたせいか心臓が破裂しそうなほどドキドキしていました.一息ついてから,そんなはずはない,こんなに早く最期が来るなんて,という思いとともに電話で済ませてしまってよかったのだろうか,本当は飛び出して様子を見に行くべきではなかったかという不安がどっと押し寄せてきたのです.ふと時計を見ると1時半を回っていました.
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