連載 在宅ケア もっとやさしく、もっと自由に!・137
出会ったときがサヨナラの始まり
秋山 正子
1,2,3
1株式会社ケアーズ 白十字訪問看護ステーション・白十字ヘルパーステーション
2暮らしの保健室
3マギーズ東京
pp.132-133
発行日 2021年2月15日
Published Date 2021/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688201628
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今回のタイトルは、J大学病院の化学療法・緩和ケア科で主に消化器、ことにすい臓がんのケースをたくさん診るT医師の言葉です。暮らしの保健室の勉強会で取り上げた事例の主治医として参加してくださった際に出たフレーズでした。
がんの生存率は全体としては伸びていますが、すい臓がんに関しては発見されたときにすでに他臓器に侵襲していることが多く、5年生存率はまだまだ低い状況が続いています。化学療法科の医師は、「すい臓がんに罹患し、外科的な治療が難しくて回ってきた人」を診る機会は少なくありません。そうした医師は、出会ったときから治療ができなくなる状態を見越し、これからの道筋を考え、単に「治療」の話をするのではなく、「どう生き抜くか」を含めた話し合いをすることが求められます。それを避けては通れない医師ならではの信念を感じさせる言葉だと思いました。
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