実践報告
看護小規模多機能型居宅介護における終末期がん独居高齢者の看取り—複数の主治医との調整と介護職への看取り教育
菅沼 真由美
1
,
花輪 啓子
2
,
瀧本 まどか
1
,
遠山 雅子
2
,
浅川 和美
1
,
中村 弥生
2
,
河西 由貴
2
,
西廣 久美子
2
,
春日 亜弓
2
,
丹澤 キイ
2
1山梨大学大学院総合研究部
2社会福祉法人やまなし勤労者福祉会共立介護福祉センターいけだ
pp.131-135
発行日 2017年2月15日
Published Date 2017/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688200637
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はじめに
看護小規模多機能型居宅介護(以下、看多機)は通い、泊まり、訪問介護、訪問看護を一体型として柔軟に利用できるサービスである。看多機「まいほーむいけだ」は、「住み慣れた街で最後まで暮らすを365日24時間支える」の理念のもと、2015年3月に開設した(表1)。所在地域は山梨県甲府市西の住宅地で、過去5年間で高齢化率が24.7%から28.1%に増加し、多くの病院や高齢者施設がある。また、独居高齢者が多く住む県営団地があり、介護サービスの需要は高い地域である。開設から、2016年5月までに、在宅3名、施設内5名計8人の高齢者の看取りをさせていただいた。
本例は開設して施設内で初めて看取った事例である。終末期がんで独居高齢者のA氏は、化学療法の治療を継続しながら地域で生活することを希望した。そのため、化学療法は病院皮膚科、疼痛コントロールは病院緩和ケア科、身体症状出現時の対応には在宅主治医(以下、かかりつけ医)が関わった。看多機での支援の過程をふり返り、本人と家族の意思を尊重した看取りを可能にするために必要な、複数の主治医との相談調整や介護職への看取り教育について紹介する。
実践報告にあたり、A氏の遺族に対して、個人が特定されないよう配慮すること、拒否する権利があることなどを説明し、同意を得た。
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