特集 「自立支援介護」に思う
「自立支援介護」の議論を、高齢者福祉政策の見直しの契機に
佐々木 淳
1
1医療法人社団悠翔会
pp.108-111
発行日 2017年2月15日
Published Date 2017/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688200631
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まずはじめに、「自立支援」という言葉の定義を明確にしたい。介護保険法にも明記されているとおり、ケアの精神はいうまでもなく「自立支援」である。しかし、それは「残存機能の強化」とイコールではない。
自立支援とは、自分の望む生活を送るための、自分の人生の主人公として生きるための支援である。身体機能の強化はそのための1つの手段となりうるが、ケアの対象となる高齢者の多くは、回復不可能な病気や障害、老衰とともに生きている。積極的なリハビリテーションが自立支援のキーとなるケースは限定的である。そして、要介護度は必ずしもその人の「生活や人生の自立度」とは相関しない。重要なのは、たとえ不可逆な障害があっても、生活や社会参加が成り立つ環境づくりを進めていくことではないだろうか。
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