研究報告
認知症に対する介護老人保健施設の機能―第二報:医療機能の調査
赤沼 恭子
1
,
関田 康慶
2
,
目黒 謙一
1
1東北大学大学院医学系研究科高齢者高次脳医学
2東北大学大学院経済学研究科医療福祉システム分野
pp.992-999
発行日 2010年12月15日
Published Date 2010/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688101749
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第一報に続き,介護老人保健施設(以下,老健)の医療機能を明らかにするために,薬剤,専門医の配置,他医療機関との連携,リハビリテーション(以下,リハビリ)スタッフ人数とその効果,療養病床の再編成に対する必要な対応を分析した。その結果,認知症専門医がいる施設は,認知症高齢者の日常生活自立度が重症な高齢者が多いものの行動障害は少なく,適切に治療されている可能性が示唆された。他の医療機関との連携については,近隣の認知症専門医療機関に時々相談や受診をしている施設は約半数であった。受診理由は,「肺炎疑い」「骨折疑い」が多く,次に「行動障害の悪化」であった。薬剤に関する分析では,抗認知症薬ドネペジルを処方していない施設が44%あったが,向精神薬はほとんどの施設で処方されていた。また,リハビリスタッフが多い施設は自宅復帰の割合が高かった。療養病床の再編成に対する必要な対応としては,「看護師の増員」「医療機関との連携」が多く,制度では「老健の医療行為は医療保険で行なう」が多かった。
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