『逝かない身体――ALS的日常を生きる』大宅壮一ノンフィクション賞受賞記念企画
―【対談を終えて】―逝かない身体と,逝きゆく身体と。―母のいのちを支えたものと,その今後の課題
川口 有美子
1,2,3
1日本ALS協会
2NPO法人ALS/MNDサポートセンターさくら会
3訪問介護派遣事業所(有)ケアサポートモモ
pp.534-536
発行日 2010年7月15日
Published Date 2010/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688101642
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3年前に母を亡くしても,立ち止まることもできずに,ALSの人たちと走り続けてきた私だが,本誌の企画,柳田邦男さんとの対談では,まるで柳田さんからグリーフケアを受けているような,心休まる時間をいただいた。
柳田さんはご著書『犠牲(サクリファイス)――わが息子・脳死の11日』(文藝春秋)に,次男の洋二郎さんの臓器を提供するまでの11日間の葛藤を,克明に描いておられる。柳田さんは,息子さんの生きた意味を臓器提供という手段で実現しようと考えた。これは,私が母の身体の声を聞いては,「生きる意味」を与え続けたのと,同じ感情から発生した行為なのである。柳田さんは同じ家族の立場として,『逝かない身体』に共感してくださったのだと私には思われた。
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