特別記事
[座談会]介護保険制度の10年をふり返る
浅川 澄一
1
,
上野 桂子
2
,
太田 秀樹
3
,
栃本 一三郎
4
1日本経済新聞社編集局生活情報部
2社団法人全国訪問看護事業協会
3医療法人アスムス
4上智大学総合人間科学部
pp.1018-1024
発行日 2009年12月15日
Published Date 2009/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688101488
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介護保険制度の評価
浅川 介護保険制度が40歳以上のすべての人から保険料を新たに徴収するという大きな制度にもかかわらず,制度創設時に反対はほとんどなかった。それだけ介護に悩んでいる人たちが多かったということで,この制度は世界的にも画期的なものだと評価します。
それまでの社会福祉法人,医療法人一辺倒の介護サービスが,NPO(特定非営利活動)法人や株式会社など,あらゆる法人に開放されたことは非常によかった。家族内でしかやり取りできなかった介護が,制度化されたことによって生業として成り立ち,40~50代の女性が起業することに目覚め,莫大な雇用を生み出した。地方ではこの雇用効果はものすごく大きいです。
太田 僕は介護保険の始まる前から在宅医療をやってきたので,介護保険の開始が施設でなく純粋に在宅医療の追い風になったかどうか,手応えとしては疑問です。しかし,ふり返って,社会全体が介護について考えるきっかけをつくったことは,評価できます。
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