特集 医療と福祉はこう変わった
[座談会]2007年の医療と福祉をふり返って
栃本 一三郎
1
,
浅川 澄一
2
,
秋山 正子
3
,
木村 憲洋
4
1上智大学総合人間科学部社会福祉学科
2日本経済新聞社編集局生活情報部
3白十字訪問看護ステーション
4高崎健康福祉大学健康福祉学部医療福祉情報学科
pp.986-996
発行日 2007年12月15日
Published Date 2007/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100959
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コムスン問題・介護職の支援について
木村 「2007年の医療と福祉をふり返って」というテーマのもと,大いに語っていただきたいと思います。はじめに,今年コムスンの問題がありましたけれど,どういった感想をおもちでしょうか。
浅川 コムスン問題は,同じ時期に,同じく連座制で処分された東京都文京区の特別養護老人ホーム(以下,特養)「くすのきの郷」の話と対比させながら論じなくてはいけないと思いますね。くすのきの郷はフィリピンからの研修生を入れて,例えばベティさんを花子さんという名前で,偽の報告書を作って4年半運営していた。施設長に言わせれば,いまの介護報酬で夜勤を一定のレベル以下に下げたくなかったということです。そのためには,とてもこんな安い賃金では日本人の職員は雇えない。たまたま来たフィリピンの大学を卒業した女性たちはものすごく優秀だったんです。書類上はまずいことをやってしまったけれども,入居者やその家族にはとても喜ばれていた。つまり,ケアのレベルがよかったのです。
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