連載 自宅で死んでみませんか・11
入院を選んだ方
皆川 夏樹
pp.720-725
発行日 2009年8月15日
Published Date 2009/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688101413
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入院を選んだ方
本稿のタイトルは、「自宅で死んでみませんか」ではありますが、実際には訪問診療をしていて、皆さんがご自宅で亡くなるわけではありません。何らかの病気で具合が悪くなって、入院となることはよくあることで、その結果そのまま入院先でお亡くなりになる方もいくらもおられます。また、今まで書いてきたように、老衰であったり癌の末期であったりして、我々の立場からすれば、病院に行っても家にいても、(医療的に)できることはそう変りはない、という状況であっても、ご家族として入院を希望されて、入院先でお亡くなりになる、ということもあります。
何せ、訪問診療は不安でいっぱいです。自分や看護師が常に付き添っているわけではない、急な状況の変化には対応ができない、我々が不安なのですからましてやご家族の不安は如何ばかりか、入院をしたい、という気持ちになるのはもっともだと思います。在宅で、ご自宅で亡くなる、というのは、少なくとも今の日本の医療状況の中ではまだまだ少数派で、様々な条件が整わないと果たせないことなのです。
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