今月の主題 問診
患者別問診法
入院での問診のすすめ方
阿部 恒男
1
1東京医歯大第2内科
pp.684-685
発行日 1973年6月10日
Published Date 1973/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204753
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はじめに
患者が入院するときは医師のすすめによるか緊急治療を要する場合が大半で,人間ドックを目的とする場合も増加しつつある.したがって入院目的は明確であり,いずれの場合でも主治医はまず最初に患者ないしは家族にinterviewすることになる.緊急入院の問診を除いた一般入院の例について問診のすすめ方を考えてみたい.
患者の心理的背景も考慮すると入院してから主治医がinterviewするまでの時間は短い方がよいことは申すまでもない.入院時の患者の心理的身体的状態を速やかに把握して,その患者が適応しやすいようないろいろの問いかけをすることになる.そして,患者の応答を観察しつつ返答の要点を纒めるのが問診であり,病歴作成の第一歩である.問診のすすめ方に外来,入院の区別はないが,入院患者では十分に時間をかけ,細かい点にも留意して正確な情報を把握しうるように心掛けるべきである.問診のすすめ方に関する専門書はほとんど見当たらず,僅かに診断学その他の書物に若干のスペースを割いて記載されているに過ぎない.コンピューターその他の科学の波は医学にも及び,診断治療に応用されつつあるが,問診に応用せしめることは現時点では不可能である.問診は患者個々に対する深い思慮があってはじめて成功するからである.
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