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はじめに
洲本伊月病院(以下,当院)は一般病棟50床と療養病棟100床,そして訪問看護を有する年間手術件数約280例の一般複合型病院であり,所在する兵庫県淡路島は人口約15万人弱で高齢化率28.9%1)と老々介護が多くみられる地域である。
当院では緩和ケアを行なうにあたり,主治医として外科の医師1人がすべての患者を担当している。上述したように緩和ケア病棟はなく,一般・療養病棟や外来・訪問を患者家族の状態やニーズにあわせて部所を選択し,どこにおいても一貫したケアが提供できるよう,医師と病棟・外来・訪問の看護師,多職種(リハビリスタッフ・薬剤師・栄養士・介護士・クラーク等)のメンバーで緩和ケアチーム(算定なし)を構成し,24時間対応で緩和医療を提供している(図1)。
近年在宅緩和ケアが推進されているなか,2006(平成18)年の淡路島における当院以外の悪性新生物による在宅死亡割合は480例中33例で6.9%に留まっている2)。当院では病棟・在宅どちらでも看取りを行なっており,2005(平成17)年から2007(平成19)年までの3年間で関わった終末期患者は175例で,そのうち在宅死は54例,在宅死亡割合は31%であった。
在宅で看取った54例のうち,入院せず在宅で看取りにいたったケースは19例,入院したのち在宅へ移行しての看取りが35例であった。一方,入院での看取りの121例のうち,入院から在宅へ移行し再入院しての看取りが10例,その他の入院での看取りが111例であった。
つまり入院にて症状コントロール後,在宅緩和ケアへ移行した症例が45例あり,そのうち10例が再入院となりそのまま病棟での看取りにいたった。これら10例に着目し,再入院の理由を中心に分析を行なったので報告する。
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